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- ノイズキャンセリングにはアクティブ・ANCとパッシブの2種類がある。一般的にノイズキャンセリングといえばANC・能動的に音を打ち消す方式を指す
- ANCは一定の周波数の連続した騒音・エンジン音・電車の走行音などに特に効果的。突発的な音・声・クラクションなどは完全には除去できない
- ANCをオンにするとイヤホン・ヘッドホンのバッテリー消費が増える
- 屋外・交通機関でのANC使用中は周囲の音が聞こえにくくなる。安全には十分注意する
ノイズキャンセリングとは
ノイズキャンセリングの基本的な意味
周囲の雑音を減らして音を聞きやすくする技術
ノイズキャンセリング・Noise Cancelling / Noise Cancelingとは、イヤホンやヘッドホンに搭載された騒音低減技術の総称です。周囲の環境音・ノイズを電子的または物理的に削減することで、聴きたい音・音楽・通話・音声などをよりクリアに聞こえるようにします。
- 英語表記はNoise Cancelling・英国式またはNoise Canceling・米国式どちらも同じ意味
- 略称はNまたはANC・Active Noise Cancelling
- イヤホン・ヘッドホンをはじめ、一部のスマホ通話機能やオンライン会議アプリにも搭載されている
ノイズキャンセリングが注目される理由
快適な音楽視聴や通話を実現する機能
ノイズキャンセリングが広く注目されるようになった背景には、スマホと完全ワイヤレスイヤホン(TWS)の普及があります。
- 通勤・通学中の電車内・バス内での音楽視聴を快適にしたいというニーズが高まった
- リモートワーク・オンライン会議の普及により、自宅や外出先でのクリアな通話環境が必要になった
- Apple AirPods Pro・Sony WF-1000XMシリーズなどのヒット商品がANCの認知を広げた
- 技術の進化でANC機能搭載イヤホンの価格が手頃になり、多くのユーザーが利用できるようになった
ノイズキャンセリングの仕組み
アクティブノイズキャンセリング・ANC
外部音を打ち消す音を生成する技術
アクティブノイズキャンセリング・ANC・Active Noise Cancelling・は、マイクで拾った環境音を電子回路が解析して、その音と逆位相・波形が正反対の音をリアルタイムで生成して出力することで騒音を打ち消す技術です。
- イヤホン・ヘッドホンに搭載された外向きマイクが周囲の音を収音する
- 搭載チップが収音した音を瞬時に解析して逆位相の打ち消し音を生成する
- 生成した打ち消し音と環境音が耳の中でぶつかって相殺され、騒音が大幅に軽減される
- この処理はリアルタイム・数ミリ秒以内で行われるため、耳に届く騒音が実際に減少したように聞こえる
- 電子回路・バッテリーを使って能動的に音を打ち消すためアクティブ・能動的と呼ばれる
ヘッドホンのノイズキャンセリング機能の解説を確認したい方はこちら
| ANCが得意な騒音 | ANCが苦手な騒音 |
|---|---|
| 電車の走行音・エンジン音・飛行機の機内音 | 人の声・会話・突発的な音 |
| エアコンの低周波音・工場の機械音 | 高周波の騒音・金属音・鳥の鳴き声など |
| 継続的・周期的な低〜中周波の騒音全般 | 不規則で瞬発的な大きな音 |
パッシブノイズキャンセリング
イヤホンの構造で音を遮断する方法
パッシブノイズキャンセリング・パッシブノイズアイソレーションとは、電子回路を使わずにイヤホン・ヘッドホン本体の物理的な構造によって外部音を遮断する方式です。
- カナル型イヤホン・耳穴に深く差し込むタイプのイヤホン。シリコン製のイヤーピースが外耳道を塞ぐことで物理的に音を遮断する
- 密閉型ヘッドホン・クローズド型・耳全体を大きなイヤーカップで覆って外部音を物理的に遮断する
- バッテリーや電子回路が不要なため、電源がなくても一定の遮音効果がある
- 素材・形状・装着感によって遮音性能が変わる
| 比較項目 | アクティブ(ANC) | パッシブ |
|---|---|---|
| 騒音軽減の方法 | 逆位相の音で電子的に打ち消す | 物理的な構造で音を遮断する |
| バッテリーの使用 | 必要・バッテリーを消費する | 不要 |
| 得意な騒音の種類 | 低〜中周波の継続的な騒音 | 幅広い周波数・物理的に遮断 |
| コスト | 高め・ANC回路が必要 | 低め・構造のみ |
ノイズキャンセリングでできること
周囲の騒音を軽減する
電車やカフェなどの環境での利用
ANC対応イヤホン・ヘッドホンを装着してANCをオンにすることで、さまざまな環境での騒音を低減できます。
- 電車・地下鉄の走行音・連続したゴー・ガタンゴトンという低周波の騒音がANCで大幅に軽減される
- 飛行機の機内・エンジンの低周波の騒音はANCが最も効果を発揮しやすい環境の一つ
- カフェ・飲食店・環境BGM・エアコン音・話し声などが混在する環境でもある程度軽減できる・人の声は完全には除去できない
- オフィス・コワーキングスペース・エアコン音・キーボードの打鍵音・周囲の会話を抑えて集中できる
音楽や動画を快適に楽しむ
クリアな音質でコンテンツを再生
ANCが騒音を低減することで、音楽や動画の音声が騒音にかき消されることなくクリアに聞こえます。
- 騒音が多い環境でも音量を過度に上げることなく音楽の細部まで楽しめる
- ポッドキャスト・有声書籍・オーディオブック・動画の音声が聞き取りやすくなる
- 音楽の低音・高音のバランスが騒音に邪魔されずに聞こえるようになる
ノイズキャンセリング機能の活用シーン
通勤・通学中の利用
電車・バス・徒歩通勤中はANCの効果が最も実感しやすいシーンです。電車の走行音・周囲の話し声・アナウンスなどを低減して音楽やポッドキャストに集中できます。移動時間を有効活用したい方に特に効果的で、通勤ストレスの軽減にも役立ちます。
オンライン会議や通話
ANCはマイクの環境音も低減するため、自分の声をクリアに届けてくれるマイクノイズキャンセリング機能・送話側ANCを搭載したモデルも増えています。
- カフェや移動先でのオンライン会議でも周囲の音を低減してクリアな通話ができる
- 自宅のリモートワーク環境でもエアコン音・生活音がマイクに入りにくくなる
- 片耳でANCを使いながらもう一方の耳で周囲の声を聞くヒアスルーモードとの組み合わせなど柔軟な使い方もできる
作業や勉強の集中環境
図書館・カフェ・自宅でのデスクワーク・勉強中に、周囲の雑音を低減することで集中力を維持しやすくなります。音楽を聴かなくてもANCをオンにするだけで静かな環境を作り出せるため、無音で集中したい方にも有効です。
ノイズキャンセリングのメリット
騒音を減らして集中しやすくなる
人の集中力は周囲の騒音によって大きく影響を受けます。ANCで騒音を低減することで、勉強・作業・読書への集中力が維持しやすくなります。また長時間の移動や騒がしい環境にいることによる疲労感が軽減されることもANCのメリットの一つです。
音量を上げすぎずに音を聞ける
騒がしい環境での音楽視聴では、周囲の騒音に負けないように音量を大きく上げてしまいがちです。大音量での長時間視聴は聴覚への負担(難聴リスク)につながります。ANCで騒音を低減することで、より小さい音量でも音楽をクリアに聴けるため、耳への負担を減らしながら快適に音楽を楽しめます。
実践メモ・外音取り込み・ヒアスルー・モードと、ノイズキャンセリングとは何か・ANCの使い分け
ノイズキャンセリングとは何かを解説し、多くのANC対応イヤホン・ヘッドホンに搭載される外音取り込みモード・ヒアスルー・アンビエントモードの仕組みも紹介します。これはANCとは逆に、マイクで外部の音を積極的に取り込んでイヤホン越しでも周囲の音が聞こえるようにする機能です。ANCと外音取り込みモードを状況に応じて使い分けることで、安全性と快適性を両立できます。
- ANCが向いている場面・飛行機・電車の中・カフェでの集中作業・デスクワーク
- 外音取り込みが向いている場面・駅のホームや横断歩道・周囲の声・アナウンスを聞く必要がある場面・コンビニや受付でのやり取り・屋外のランニング中
ANCと外音取り込みモードの切り替え方・多くのモデルではイヤホン本体のボタン長押し・スマホのBluetooth接続アプリ・Sony Headphones ConnectやAppleの設定からワンタップで切り替えられます。外出中は外音取り込みモードを基本にして、電車に乗り込んだらANCに切り替える、という使い方が快適かつ安全です。
ノイズキャンセリング利用時の注意点
周囲の音が聞こえにくくなる
- 注意・ANCをオンにしていると周囲の車・自転車・緊急車両の接近音・後ろからの呼びかけが聞こえにくくなる。屋外・交通量のある道路の近く・自転車・車の運転中にはANCを使用しないか、外音取り込みモードに切り替えてください
- 電車・バスのアナウンス・乗り換えや警告が聞き取りにくくなる場合がある
- ANCによる「耳の圧迫感」を感じる人もいる・特に使い始めの頃。これはANCが音環境を変化させることによる感覚で、時間の経過とともに慣れることが多い
バッテリー消費が増える場合
- ANCは内蔵チップが常時動作して逆位相音を生成し続けるため、ANCをオフにした状態より電池の持ちが短くなる
- バッテリー持続時間がANCオン・オフで2〜4時間程度異なる製品も多い
- 長時間の飛行機移動などバッテリーを長持ちさせたい場面では、必要なときだけANCをオンにする部分的なANC使用も有効
- 充電ケースのバッテリーも含めたトータルの使用時間を確認してから購入を検討する
まとめ・ノイズキャンセリングとはを理解して快適な音環境を作る
ノイズキャンセリングの基本ポイント
- ANC・アクティブ・マイクで拾った騒音の逆位相音を生成して電子的に打ち消す。低〜中周波の連続した騒音に特に効果的
- パッシブ・イヤホン・ヘッドホンの物理的な構造で外部音を遮断。バッテリー不要
- ANCが得意な騒音・電車の走行音・飛行機エンジン音・エアコンの低周波音など
- ANCが苦手な騒音・人の声・突発的な高周波音・不規則な騒音
- 注意点・屋外でのANC使用は周囲の音が聞こえにくくなる。安全な場所でのみ使用する
イヤホンやヘッドホンでの活用方法
- 通勤・通学・電車内でANCをオンにして走行音を低減。駅ホームでは外音取り込みモードに切り替える
- オンライン会議・マイクノイズキャンセリング対応モデルで周囲の音を相手に届けない
- 集中作業・勉強・音楽なしでANCだけオンにして静かな環境を作る
- 安全な使用・屋外では外音取り込みモードとANCを状況に合わせて切り替える
- バッテリー管理・必要なときだけANCをオンにしてバッテリーを節約する
よくある質問・FAQ
Q. ノイズキャンセリングイヤホンとヘッドホン、どちらを選べばいいですか?
用途と携帯性の好みで選ぶのがおすすめです。イヤホン・特に完全ワイヤレスはコンパクトで持ち運びやすく、通勤・通学や運動中に向いています。オーバーイヤー型ヘッドホンはイヤーカップが大きく耳全体を覆うためパッシブの遮音効果も高く、長時間の使用や自宅・オフィスでの使用に向いています。ANCの性能はモデルによって異なるため、実際に試聴してから選ぶのが理想的です。
Q. ANCをオンにすると音質は変わりますか?
ANCの処理方式によって音質への影響が異なります。製品によってはANCオン時に音質(特に低音)が若干変化すると感じる場合があります。高品質なANC搭載モデルでは音質への影響が最小限に抑えられています。気になる場合はANCオン・オフで聞き比べてみてください。
Q. ノイズキャンセリングは人の声を消せますか?
人の声は周波数・音量・タイミングが不規則に変化するため、ANCが得意とする一定で継続した低周波騒音とは性質が異なります。そのため完全に消すことは難しく、人の声がある環境では軽減効果は限定的です。最新のANC搭載機では人の声を識別して軽減するAIを使った高度なANC技術を搭載するモデルも増えていますが、それでも完全な消去は困難です。
Q. 安いイヤホンにもノイズキャンセリング機能はついていますか?
近年は数千円台の手頃な完全ワイヤレスイヤホンにもANC機能を搭載した製品が増えています。ただし価格帯によってANCの性能・効果には大きな差があります。廉価モデルのANCは高価なモデルと比べて騒音の低減量が少なかったり、音質への影響が出やすかったりする場合があります。用途に合わせて予算内で最適な製品を選んでください。
Q. スマホのAndroid端末で通話中の相手の声にノイズキャンセリングを使う方法はありますか?
Androidスマホ自体にも通話中の送話側・自分のマイクにノイズキャンセリング処理を行う機能が搭載されている機種があります。また、ZoomやGoogle MeetなどのWeb会議アプリにもAI技術を使ったノイズキャンセリング機能・バックグラウンドノイズ除去が搭載されています。ANC対応のイヤホン・ヘッドホンを使うと受話側・相手の声と送話側・自分の声の両方でノイズを低減できるため、より快適な通話環境を作れます。
Q. ANCをオンにすると頭が痛くなることがありますか?
ANCによる圧迫感や頭痛を訴えるユーザーは一定数います。ANCが逆位相音を生成して耳の中で音波が打ち消し合うとき、音圧の変化が気圧変化のように感じられる場合があります。使い始めは短時間から使用して徐々に慣らすことをおすすめします。どうしても不快感が続く場合はANCをオフにするか外音取り込みモードを使用してください。

