Android スマホと iPhone を比較する上でパフォーマンスの差はいつも論争になる話題です。歴史的にも iPhone の方が Android スマホより優れたパフォーマンスを示すことは Android 派の私でも認めるところですが、この性能面において iPhone 優勢な業界の力関係はもしかすると来年には逆転するかもしれません。英 ARM は次世代の Cortex-X コアとして “Blackhawk” を開発しており、これが正式リリースされると iPhone と Android の間の性能ギャップがなくなる可能性があると伝えられました。
これは市場調査会社 Moor Insights and Strategy が公開した調査レポートの中で指摘された情報です。Blackhawk の詳細は明らかにされていませんが、2024 年末に出荷予定とされるこの CPU は、Geekbench 6 を基準にすると過去 5 年間の中で最も高い前年比ベースのパフォーマンス向上が性能目標の一つに定められており、無事にこの目標を達成できれば性能面で iPhone を上回る可能性があるとのことです。
ARM は半導体設計会社であり、モバイルデバイス向けの CPU 命令セットを設計し、それを Qualcomm や Apple などにライセンス提供する傍ら、自社でも CPU を開発しており、それらを Cortex というパッケージ化され事前に検証されたコア IP として Samsung や MediaTek などに提供しています。今回は後者の IP が飛躍的な性能アップを遂げたことで、今後、Qualcomm や Apple とのパフォーマンス競争がさらに激化する可能性があるというお話です。
Blackhawk のパフォーマンスの大幅な向上は OS や一般アプリだけでなく、今後益々普及していく生成 AI の分野においてもその実行性能が大幅に向上するとも伝えられています。
Blackhawk が正式にリリースされた場合、最もその恩恵を受けるのは CPU をカスタム設計していない MediaTek でしょうか。MediaTek は ARM IP を使用して CPU を設計しており、Blackhawk を採用すれば Dimensity チップもほぼ自動的に飛躍的な性能向上を遂げると予想されます。
Android ユーザーにとっては非常にワクワクするニュースですが、忘れてはいけないのが iPhone も進化することです。次世代 iPhone に搭載される CPU の性能レベルによっては毎年のごとく最大瞬間風速的な逆転劇で終わることも十分に考えられます。
Source : Moor Insights and Strategy