本記事は Google の最新スマホ「Pixel 8」をレビューしたものになります。10 月 12 日の発売開始から 3 ヶ月が経過しての公開となりますが、その分、じっくりスマホをテストできたので詳しくレポートします。今後、Pixel 8 を購入する方の参考になれば幸いです。
私が入手した Pixel 8 は 128GB ストレージの Hazel カラー。Google ストアのブラックフライデーセールで値下げされていたので思い切って購入しました。Pixel 8 のスペックや特徴はこちらの記事(外部サイト)で詳しく説明しているので参考までにご覧ください。
レビューは Pixel 8 の良い点・悪い点を項目別に紹介していきます。
ボディは薄くスリム、心地よいフィット感で極上の持ち味
全体的に、Pixel 8 に対してはポジティブな印象を持っていますが、その中でも最初にお伝えしたいのが改善されたスマホの持ちやすさです。この点については歴代モデルの中でも一番だと感じるほど改善されており、個人的にはこの点を最も高く評価しています。
ディスプレイサイズが 6.2 インチに縮小したので、6.36 インチの Pixel 7 よりもコンパクトなのは当然ですが、実は、スマホのサイズは 6.1 インチ画面の Pixel 7a よりも小さく(Pixel 7a 用保護ケースがブカブカでした)、とても細マッチョなボディに仕上がっています。特に厚みが減ったことで重量バランスも改善され、スマホをしっかりと握ってタッチ操作できる点は秀逸です。スマホを操作していて心地よいと感じるのは稀ですが、Pixel 8 は数少ない上質な持ち味を提供するスマホだと言えます。
外装構造を Pixel 7 と比較すると、フレーム四隅はより丸くなり手の平への当たりが軽減され、バックカバーはガラス素材を使用していますが、色付きガラスなので透明なガラスパネルとは少し手触りが異なります。個人的には透明ガラスの質感の方が好みです。
スマホを持ったときの感触は Pixel 7 よりも Pixel 7a に近い印象ですが、背面から側面にかけて継ぎ目が殆どなく、Pixel 7a よりも持ち味は確実に上回っています。
Pixel スマホ伝統のカメラバーは金属の質感を持つ構造に変わり、耐久性が向上した他、高級さ漂う見た目となりました。
ディスプレイはとても明るく、今までの不満が解消
長年、Pixel スマホで不満だったことにディスプレイの最高輝度が低く屋外で少し見づらいことが挙げられますが、Pixel 8 には新しい “Actua” ディスプレイが搭載されたことでこの課題はほぼ解消しました。
Pixel 8 の最高輝度は 1,400nits に向上し、HDR 用のピーク輝度については 2,000nits にも達します。通常のスマホ操作では最高輝度が設定可能な明るさの最大値で、これは他のフラッグシップスマホと比較しても遜色ない明るさです。
Pixel 7 の場合、明るさを最大にしても昼間屋外では少し見づらく、特に夏場の直射日光下ではかろうじて見える程度の視認性ですが、Pixel 8 の場合、最大の明るさでは室内操作時と変わらない暗い見えますし、輝度を 90% に抑えても屋外で普通に見える程度の性能を発揮します。
室内使用時、Pixel 7 では 80% 程度まで輝度を上げないとアプリの操作に支障をきたしていましたが、Pixel 8 では 65% 程度まで落としても普通に見えます。
明るさの向上は、スマホ画面の見やすさだけでなく、写真や動画の画質改善にも貢献し、特に HDR コンテンツは驚くほど鮮やかな画質で楽しむことができます。
ディスプレイに関してはまた、最大 120Hz のリフレッシュレートをサポートしたので、スマホ画面の表示がさらに滑らかになりましたし、高フレームレートのゲームも利用しやすくなったと思います。
個人的に、ディスプレイの改善青果はテストで 100 点といった評価です。
デジタルズームでも高画質
カメラは 50MP 広角 + 12MP 超広角という従来のデュアル構成を踏襲し、光学品質 2 倍の超解像ズームと 8 倍のデジタルズームに対応しています。メインカメラのイメージセンサーとレンズがアップグレードされ、新たに「デュアル露出」やマクロ撮影に対応しました。
上位モデルの Pixel 8 Pro は 50MP サイズでの写真撮影、動画ブースト&動画夜景モード、Pro コントロールにも対応していますが、Pixel 8 は非対応です。
本記事を公開するまでの間に沢山の写真を撮影しましたが、その中で気づいたことは、ノイズが少なく、デジタルズームを使用してズームしても拡大によるモザイクが少なく描写力が高いことです。画質の良し悪しは次のサンプル画像で確認してください。全て JPEG 撮って出しです。一部はクロップしていますが、画質補正は一切行っていません。
Pixel 8 Pro との決定的な違いは望遠カメラを搭載していないことです。この点がネックとなり Pixel 8 の購入を躊躇している方は多いと思いますが、デジタルズームの画質は意外と高く、Pixel 8 でも十分実用的な望遠写真を撮影できます。次のサンプルはデジタル 8 倍ズームで撮影した写真ですが、肌の質感や鮮明さは光学ズームに匹敵する仕上がりでした。
Ultra HDR はスマホでの写真鑑賞を次のレベルに引き上げる
Pixel 8 は Ultra HDR と呼ばれる形式で写真を撮影できます。Ultra HDR とは、通常の JPEG よりも多くの色情報を含む画像で、スマホの画面輝度を上げると今まで白飛びしていたハイライト部分の色が復元される結果、より鮮やかでコントラストの高い状態で写真を鑑賞できます。
上の比較写真を見ればその差は一目瞭然。Ultra HDR 写真は照明部分の明るさや色をリアルに近い形で再現できるので、例えば、イルミネーションや夜景、イベント展示会、コンサートなど、雰囲気作りに光が用いられる場所や被写体を撮影するのに適しています。上のサンプルは福岡モビリティショーで撮影したものですが、写真からでも現地の雰囲気が伝わると思います。Ultra HDR はとても優れた撮影技術であり、今後、より多くのスマホえの展開が期待されます。
スマホの性能は申し分ない
Pixel 8 には第 3 世代の Tensor チップ(Tensorr G3)が搭載されており、CPU 構成が一新し処理性能が大幅に向上しています。また、RAM も現行最速の LPDDR5X に対応したので、アプリの動作性能も向上しています。
ベンチマークアプリ上では Pixel 7 とスコアに大きな差が確認されましたが、正直なところ、体感的な違いは殆ど感じません。もともと Pixel スマホの動作性能は高く、Pixel 8 でも相変わらずといった印象です。
AI 機能は今後のアップデートに期待
Pixel 8 の一番の特徴は、Google がこれを “AI マシン” と呼ぶくらいシステムに AI が組み込まれたことで、スマホ全体の機能が向上しています。その中心となるのが先日発表された高性能 AI モデル「Gemini Nano」です。しかし、Gemini Nano は現在、Pixel 8 Pro にしか提供されておらず、Pixel 8 に関しては未対応。現状、Pixel 8 で利用可能な AI 機能は Pixel 7 と大差ないので、このレビューの段階でその良し悪しを語ることはできません。
それでも、「ベストテイク」、「編集マジック」、「音声消しゴムマジック」、「AI 壁紙」などの新機能は今の Pixel 8 でも利用できますし、顔認証はパスキーでのログインやアプリの本人確認にも対応したので、AI によってスマホの能力は確実に向上しています。後は Gemini Nano の展開を待つだけ。
バッテリー持ちは、まぁ平均的
Pixel 8 のバッテリー容量は 4,575mAh で、Google はバッテリー駆動時間を 24 時間と案内していますが、本当に 24 時間持つのでしょうか、独自のテストを実行して検証してみました。
テスト内容は、画面輝度を70% に固定し、Wi-Fi を切った状態で、10 分おきに 1 分間スマホを操作(SNS や Web 閲覧を実行)するというものです。現実的なスマホ使用を再現したつもりです。
独自に調査したところ、バッテリーを 1% 消費するのに 12 ~ 13 分を要したので、私のテストでは 20 時間 ~ 21.6 時間は持続することになります。
別の積極的にスマホを使用した場合のテストでは、7 時半に充電を解除し、YouTube 動画を 6 時間視聴し、動画編集を 1 時間 44 分行い、約 6 時間モバイルデータを使用したところ、その日の 20 時半に 15% にまで低下しました。
これらのテスト結果から、少なくとも一日のうち活動中(起床から就寝まで)の間はたとえスマホを積極的に使用したとしてもバッテリー切れとなる可能性は低いと言えます。もちろん、バッテリーの減り方はスマホの使用状況に左右されるので、必ず一日持つとは断言できません。
まとめ
ディスプレイの輝度をはじめとする今までの課題が殆ど解消しており、112.900 円という他社のフラッグシップよりやや安い価格を考慮すると、Pixel 8 に欠点・弱点と言える要素は皆無に等しく、小型スマホをお探しの方には自信を持ってお勧めできるスマホです。
お勧めする理由の一つにはサポート期間が長いことも挙げられます。Pixel 8 にはなんと 7 年間の OS アップグレード、セキュリティアップデート、Feature Drop が提供され、2030 年まで最新のソフトウェアを利用できます。スマホの使用期間は長期化しており、こうした状況の中で 7 年のサポート期間は十分購入する理由にもなります。
オンデバイス AI 機能を司る Gemini Nano の提供時期は不明ですが、Pixel 8 は最新の AI 機能も利用できるので、今後数年間にわたって最新のテクノロジーの恩恵を享受できる Pixel 8 はマストバイなスマホだと言えます。