Wear OS 4搭載、高性能化した「Google Pixel Watch 2」のレビュー

レビュー

最新スマートウォッチ OS「Wear OS 4」を搭載した Google の新型スマートウォッチ「Pixel Watch 2」を使い始めて 2 週間が経過し、だいぶ使い慣れてきたので本商品のレビューを紹介します。本記事では次の 8 項目に分けて Pixel Watch 2 の良い点・悪い点、使い心地などを紹介していきます。

Pixel Watch 2 のスペックや特徴はこちらの記事で紹介しているので、商品の詳細についてはそちらの記事をご覧ください。

今回、私が入手した Pixel Watch 2 はシルバーケース + Bay アクティブバンドのカラバリの Bluetooth + Wi-Fi モデルです。そのため、LTE モデルに関する機能や使い方は本記事では扱っていません。

1. 一日中身に着けても違和感のない優れた装着感

私が Pixel Watch 2 について最も高く評価しているのが 24 時間身に着けていられる優れた装着性です。このように評価した理由は、肌触りが良く腕に優しくフィットするアクティブバンドの効果が大きいと思いますが、ウォッチ本体の少し小ぶりで滑らかな表面仕上げとした点も着け心地の良さに貢献していると思います。

アクティブバンドとは、バンドを締めたときに余ったベルトを手首の内側に巻き込むタイプのウォッチバンドのことです。初代 Pixel Watch に引き続き、Pixel Watch 2 もアクティブバンドが標準セットになっています。

アクティブバンドを装着するとバックル部分の厚みが殆どなくなるので、例えば PC キーボードで文字を入力中にバックルが接地面と殆ど干渉せず快適ですし、バンドの余った部分を内側に巻き込むことでウォッチのフィット感がさらに増します。良いことづくめのウォッチバンドです。

私は Pixel Watch 2 を入手してから充電時以外ずっと装着していますが、まず、常時着用できている事実に自分でも驚いています。これまでいくつものスマートウォッチを使用してきましたが、身につける時間が長くなるとどうしても手首が蒸れたり痒くなって常時使用を断念していましたが、Pixel Watch 2 を使用し始めてからというもの、身に着けている状態が今の私のデフォルトになっています。

Pixel Watch 2 には睡眠や体調、ストレスレベルなどの健康状態を記録するデバイスとしての任務も付与されているので、常時装着にも耐える作りというのは十分その役割を果たせる商品だと言えます。睡眠の記録用に別途専用ウェアラブルデバイスを購入する必要がないので経済的でもあります。

また、ウォッチ本体はリューズ・サイドボタンを除き凹凸のない滑らかな作りです。ケースサイズは 41mm とアナログ腕時計の中でもポピュラーなサイズ。私は男性ですが、Pixel Watch 2 を装着したときに本体が手首からはみ出ることはなく、普通のアナログ腕時計を装着しているような感覚で使用しています。

上の写真をご覧になると気付くと思いますが、カバーガラスの風防は大きく丸みを帯びたデザインなので、シャツの袖がウォッチに引っかかることもありません。腕時計としても大変扱いやすいスマートウォッチです。

2. Pixel スマホ譲りのスムーズな操作性

「スムーズ」というのは、ディスプレイのタッチレスポンスやスクロールの滑らかさだけでなく、Wear OS の動作性能のことも指しています。Pixel Watch 2 の場合、どちらの視点でもこれまで私が使用したスマートウォッチの中ではダントツ。Pixel スマホさながらの極上の操作体験をもたらしてくれます。

ラウンドエッジ加工のカバーガラス風防には防指紋コーティングが施されておりしっとりとした心地よいタッチ質感で、ベゼルレスデザインとも相まって指がエッジに引っかかることもなくタッチ感は良好です。

システムの性能に関しては、Qualcomm Snapdragon W5100 を搭載しており、前世代(W4100)から性能と電力効率が大幅に向上しています。Snapdragon W5100 には 4nm のアップグレードされた 4 コア CPU や Adreno 702 GPU が組み込まれており、UI の操作からアプリの動作に至るまで Pixel スマホのように軽快に動作しています。大抵の Wear OS スマートウォッチには多かれ少なかれ操作ラグが生じると思いますが、Pixel Watch 2 にそのような不快な挙動は全くと言っていいほど見られず快適に操作することができます。

3. 昼間晴天時でもバッチリ見える良好な視認性

スペックシートによればディスプレイのピーク輝度は 1,000nits です。実際に昼間屋外で確認したところ、確かにそのくらいの輝度は出ていました。時刻やランニング中のアクティビティ表示、通知やメッセージの文字、Google マップの地図など、あらゆる情報は目の悪い私でさえも余裕で見えるレベルなので、健康な方なら屋外で見づらいと感じることは殆どないと思います。モノクロ液晶レベルとは言えませんが、屋外で使用するスポーツウォッチとしても十分実用レベルの視認性です。

4. バッテリー持ちはスペック通り、充電も速い

Pixel Watch 2 のバッテリー容量は 306mAh で、Google はこの容量で「24 時間持つ」と公言しています。これは一般的な使い方を想定した駆動時間ですが、私の使用パターンでも確かに 24 時間以上持ちました。

私の使用パターンというのは、1 時間に 2 ~ 3 回程度時刻を見たり通知が届いたらチェックし、1 時間おきにウォッチアプリを数分間操作。1 日に Fitbit アプリを使用して 20 分間のサイクリングと 20 分間のランニングを GPS トラッキングするという内容です。これで 24 時間経過した時点でのバッテリー残量は 25% 前後でした。

ただ、これはあくまでも私の場合のバッテリー持ちであり、ウォッチの操作時間や GPS のトラッキング時間によって大きく変動します。

バッテリー容量やバッテリー持ちは Wear OS スマートウォッチ全体で見ても平均的なものなので、例えば、フルマラソンや長距離トレイルランニング、本格的な登山、アドベンチャーレースなど、センサーを長時間動作させるスポーツやアクティビティでは確実に途中でバッテリー切れを起こすと思われ、そのような使い方をされる方は長時間のバッテリー持ちを売りにした別のスマートウォッチを選択すべきです。

5. 急速充電には対応しているもののワイヤレス充電には非対応

Pixel Watch 2 は急速充電に対応しており、実際にテストしたところでは 30 分間の充電で 25% ~ 90% まで充電されました。お風呂タイム + α の比較的短い充電時間でフル充電されます。

しかし、Pixel Watch 2 はワイヤレス充電をサポートしておらず、バッテリーを充電するには付属の専用充電器を使用する必要があります。そのため、ワイヤレス充電に対応したスマホやモバイルバッテリーを使って充電することはできず、こうした充電環境の制限は Pixel Watch 2 の弱点だと言えます。

6. あらゆる用途に対応できる充実した機能

Pixel Watch 2 は Wear OS スマートウォッチでありながら Fitbit デバイスの機能を併せ持つ優れ物。GPS、心拍計、cEDA センサー、皮膚温度センサー、心電図モニター(国内では利用不可)など、多彩なセンサーを備えており、日常のアクティビティ(歩数や消費カロリー等)やスポーツトラッキングはもちろん、睡眠や体調なども記録できます。Pixel Watch 2 が一台あれば他のウェアラブルデバイスは不要と思わせる充実っぷりです。

Pixel Watch 2 にプリインストールされている Fitbit アプリを使用すれば 40 種類以上のスポーツを記録でき、もちろんウォーキングやランニング、サイクリング時には GPS を利用して速度や走行距離を記録できます。

しかし、Fitbit アプリのスポーツトラッキング機能は汎用性を重視した仕様のため、例えばランニング時にはラップ毎・1km 毎のパフォーマンス測定ができなかったり、本格的な心拍トレーニングには指標が不十分だったり(VO2Max や LT 値など)、GPS ロガーの機能は無かったりと、何か特定のスポーツに秀でているわけではないので、専門的なスポーツトラッキングを行いたいなら他のアプリに頼るか、それでも不足しているなら Suunto や Polar、Garmin といった専門メーカーのスマートウォッチを選ぶべきかと思います。

7. フォーマルな装いには適さないかも

▲ 左 Pixel Watch 2 右 Seiko 5

Pixel Watch 2 の外観デザインは非常にシンプルで、どちらかといえばスポーツウォッチに近い見た目です。ウォッチ全体にラグジュアリー感はなく、スポーツウェアやカジュアルなファッションには馴染みますが、スーツやドレスなどのフォーマルな装いには手首周りが質素に見えて適さないかもしれません。バンドをメタルバンドやレザーバンドに交換すれば見栄えは多少改善されますが、それでも機械式腕時計のような雰囲気は作り出せないのが私の個人的な意見です。

とはいえ、Pixel Watch 2 をどの服装に合わせるのかは個人の判断によるものなので、見栄えを気にせずスーツスタイルで使用しても全く問題はありません。

8. 新しいセンサーは重要ですか?

Pixel Watch 2 では次のセンサーが改良、もしくは増設されています。

心拍センサー : シングルパルス方式からマルチパルス方式に改良。強度の高いトレーニング時の測定精度向上に貢献。

cEDA : 皮膚電気活動(EDA)を継続的に読み取るセンサー。ストレスレベルの推定に用いられる。

皮膚温度センサー : 皮膚表面の温度を測定するセンサー。体調の変化や健康管理、生体認証の代替手段など様々な用途に用いられる。

心拍計はスマートウォッチやフィットネストラッカーの中心的な役割を担うセンサーなので、改良されたことは手放しで喜ぶべき要素です。ただ、実際にどの程度精度が向上し、それがどのように各種指標データの信頼性向上に反映されるのかは未知数です。

cEDA センサーと皮膚温度センサーは、近年ウェアラブルデバイスでの採用が進み、もはや定番となりつつあるセンサーです。Fitbit アプリ上では、身体反応(時間)やストレスマネジメントスコア(点数)、健康指標の皮膚温度変化(±度数)といった形式で記録され確認できます。

Fitbit アプリにおいてこれらの新センサーはまだ十分に活用されていないので、存在意義を疑うところですが、cEDA センサーはストレスの予測やメンタルヘルスの管理に活用され、皮膚温度センサーは月経周期や排卵日の予測、発熱などの体調不良の早期発見、睡眠の質の評価、生体認証の代替手段など、様々な用途に使用されており、今後、その用途は益々拡大していくので、搭載されているか否かでスマートウォッチの潜在能力が大きく変わってきます。そういった意味でこれらの新センサーは必要ですし重要でもあります。

まとめ

以上、様々な視点から Pixel Watch 2 を評価してきましたが、全体的に見て Pixel Watch 2 に明らかな欠点・弱点と断言できる要素はワイヤレス充電をサポートしていないことくらいです。あとはデザインの好みやどのくらいのバッテリー持ちを期待するのかで Pixel Watch 2 を選択するのかそれとも別のスマートウォッチを選択するのかが分かれてくると思います。

レビューは以上です。最後までお読みくださり誠に有難うございました。

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