スマートフォンのカメラスペックは年々向上しており、4K(3,830 x 2,160)を超えて 8K(7,680 x 4,320)というとてつもなく大きなサイズで動画を撮影できる機種も増えてきました。今やミッドレンジクラス以上ならどのスマホでも 4K で撮影できます。しかし、ユーザーの皆さんはどうでしょうか。「4K・8K テレビなんて持ってないし、ファイルサイズも大きくなるから特に必要ではない」、このように考え敢えてフル HD(1,920 x 1,080)の定番サイズに画質を落として動画を撮影する方は意外と多いかもしれません。実は、4K や 8K などの高解像度動画はクロップして再利用しやすいという大きなメリットを持っており、今回の記事でその活用方法を紹介します。
4K や 8K 動画は対応するテレビやモニターで視聴すると非常に高精細で色も鮮やかです。それは、初めて 4K 動画をフルサイズで視聴したときの衝撃は今でも鮮明に記憶しているほどです。ただ、身の回りの視聴環境を見渡しても常に 4K や 8K で視聴できるわけではなく、平均的なスマホユーザーにしてみれば少し実用性に欠けるサイズとも言えそうです。
そこで知っておいて欲しい活用方法が冒頭で紹介したクロップ利用です。クロップとは、映像の一部分を切り出す編集作業のことです。今でも身の回りの視聴環境はフル HD サイズが中心となっており、それを基準にすると、範囲は限定されますが、4K・8K 動画の中から自由に選択した映像の一部分を切り出したり、画質劣化無く映像を拡大することもできます。次の比較画像は、4K で撮影した動画をフル HD サイズにクロップしたときのもので、遠くに見える被写体にかなり寄れていることがわかります。
フルHD(1,920 x 1,080)を基準にした場合、4K 動画は最大 2 倍、8K 動画は最大 4 倍の範囲で拡大しても理論的には画質は劣化しません。ここで普通にフル HD で撮影しても拡大することはできませんし、仮に拡大したとしても画質は劣化します。
このような動画のクロップ作業は数多存在する動画編集アプリで行えます。Android スマホにプリインストールされている Google フォトにも「切り抜き」機能として実装されているので、アプリを追加することなくクロップできますが、クロップ枠の調整はフリーハンドで行うので、例えば、4K 動画をきっちりフル HD サイズに切り抜きたい場合には専用アプリが必要になってきます。例として、「Crop & Trim Video」アプリでは動画サイズの値を入力してクロップできるのでおすすめです。
別のクロップ活用例として、動画から静止画を生成して再利用するときも 4K なら約 829 万画素、8K 動画からは約 3,300 万画素の大きな写真を得ることができます。この場合もフル HD を基準にすれば、4K 写真は最大 2 倍、8K 写真は最大 4 倍にまで拡大できるので、被写体を中心に余白をカットしたりと画角調整も可能になります。
動画のファイルサイズを気にしてフル HD のサイズに画質を下げて撮影する方は多いかもしれませんが、4K・8K 撮影は「大は小を兼ねる」が思いっきり当てはまる行為なので考え直してみてはいかがでしょうか。